日録

夜中にYouTubeで木村栄文の『祭ばやしが聞こえる』を見る。 ブレンデルとアバドで、ブラームスの《ピアノ協奏曲第2番》を聴く。最近ようやくブラームスが聴けるようになってきた。ベートーヴェンとかワーグナーを聴いていてもこんなことは思わないが、私にと…

『大江健三郎自選短篇』に収められた「雨の木」連作の三篇を読む。久しぶりに読んだが、やはりこの連作は大江の中でも、最高に充実した傑作のひとつであると、改めて思った。

それなりに早く帰って来たのだが積みに積んだ本の柱を何本も崩して文庫本を見つけて、夕食を食べるともう眠くて眠くて眠る。

京都まで出る。鞄の中に本を入れ忘れている。ポルタの古本市のワゴンで、ジョン・ライドンの自伝『STILL A PUNK』を見つけて買う。京都市京セラ美術館で「金曜ロードショーとジブリ展」(見る価値があるのは竹谷隆之の「王蟲の世界」の部屋だけ)を通り過ぎ…

ウェブで作業をしていたらあまりにもいらいらいしてきたので、ダネル弦楽四重奏団の旧盤のショスタコーヴィチの全集をPCに取り込んで、PILの『Second Edition』を聴いて落ちつく。

洗濯物を干してから、Oギャラリーeyesまで出て、中小路萌美の「遠い色」展を見る。今回は空間の展開よりもさらに、その空間がぐにゃりと歪む時間の経過のほうに表現の重点があるように思う。 「しま」の薬を病院に取りに行く。クルレンツィスの指揮で《フィ…

とても些細なきっかけで外出先で無性にモーツァルトの《フィガロの結婚》が聴きたくなり、帰宅して、いろいろあるけれどカラヤンの1950年の俊敏な録音を選んで、第二幕まで一気に聴いた。

帰宅すると東京国立近代美術館の「中平卓馬 火・氾濫」展の図録がようやく届いていた。さすがに立派な出来。 『作業日誌』の1954年7月8日を繰ると、ブレヒトがさっそくオッペンハイマーの「弁明書」を読んでいるのが判る。「彼の文書は、肉の調達を拒否した…

デイヴィッド・リンドリーの『そして世界に不確定性がもたらされた』を読み始める。そのものずばりの科学の啓蒙書よりも科学史の本を読んでいるほうが自分にとっては面白く、より理解できる気がするのは、今の私が漠然と分け持っている常識よりも以前の話か…

ベンハミン・ラバトゥッツの『恐るべき緑』を読み終える。エピローグの「夜の庭師」がくっついていることをどう評価するかだと思うが、これがあるから独特の印象を残す「歴史」についての(語り方も含め)小説になっていると思った。

昼前から柚子と新幹線で名古屋まで出かける。ベンハミン・ラバトゥッツの『恐るべき緑』を読み始める。ナゴヤドームでSixTONESの《VVS》を見る。松村北斗は『夜明けのすべて』で『すずめの戸締まり』だから、いい声なのだが歌声がいちばんいいと思う。京本大…

昨日の夜中引っ張り出してきたグリンゴルツ弦楽四重奏団の録音でシェーンベルクの弦楽四重奏曲の《3番》と《1番》を聴いている。奏者の息遣いも入っている録音で、とても厳しく力のこもったゴリッとした演奏で、これも大変いい。 朝永振一郎の『鏡の中の物理…

朝は早く起きて新幹線。坐ってしばらくするともう眠っている。昨日の夜から読み始めた林晋の『ゲーデルの謎を解く』を読み終え、ロベルト・ユンクの『千の太陽よりも明るく』も読み終える。朝永振一郎の『鏡の中の物理学』を読んでいるうちに東京に着いて、…

阪神電車で福島まで出て大阪中之島美術館の「モネ 連作の情景」展を見る。浜に上がっている三艘の漁船やノルマンディーの断崖や夕暮れのウォータールー橋など、そういうタイトルが絵の脇についているが、私が好きなのはこれらの表面の絵の具の粒立ちや筆致や…

今日はようやくすっきり晴れたので洗濯物を取り込み、洗濯機を回して洗濯物を干し、写真を撮りに出かける。夜になって帰ってきて洗濯物を取り込む。夜中にディオティマ四重奏団の新ウィーン楽派ボックスを引っ張り出してきて、シェーンベルクの《弦楽四重奏…

夜、ナンバさんとシノギさんとジュスティーヌ・トリエの『落下の解剖学』をめぐって話す。ナンバさんの「50 Centの《P.I.M.P.》とショパンの《24の前奏曲》の「第4番」はどちらも同じ落下する音型で組み立てられており、あの夫も息子も、まるで違う音楽を選…

昼に起きる。「しま」のごはんを準備して、枕カバーを洗う。洗濯機を回す。ロベルト・ユンクの『千の太陽よりも明るく』を読んでいると、レオ・シラードが出てくる。彼は1898年のハンガリー生まれである。それなら『黄金列車』のバログと、ほぼ同い年だ。ヴ…

風呂に入りながらマーティン・エイミスの『時の矢』を読み終える。たとえその語りが私のことであっても語られる私と語る私との間に何らかのずれがなければ語りは生起しえない。だからこの小説が「私は暗黒の眠りから抜け出る」で始まり、「早すぎたのか、は…

ぶらぶら歩いて湊川公園まで出てパルシネマでジム・ジャームッシュの『ダウン・バイ・ロー』を見る。最初のショットからもう、ロビー・ミューラーの映像が見事で、むしろ、これを見に来たのだと思う。フレームの中にどんな光で、どんな物が、どれぐらい入っ…

先日聴いた『Washing Machine』がとてもよかったので、まだ中古レコード屋の棚に残っていた『A Thousand Leaves』を買って帰る。この歪みまくったギターとゴツゴツしたドラムだけでいい。《Wild Flower Soul》はいい曲だと思うが、すかした男前の歌声が入っ…

本屋やレコード屋を覗いてから、元町の喫茶店に寄って、お茶を買って帰る。四月から値段が上がるよと言われる。今日もバッハが掛かっていて、ECMのアンドラーシュ・シフの《ゴルトベルク》だった。紅茶を淹れる。柚子と晩御飯を食べる。蒲団で『時の矢』の続…

朝から雨がざぶざぶ降っている。駅前の横断歩道のすぐ脇の低い街灯の上に濡れたカラスが留まっていて、どこかビルの上にいるらしいカラスと同じメロディで鳴き交わし合っている。シネ・リーブル神戸でタル・ベーラ(アサイヤスや黒沢清や鳥山明や岡崎乾二郎…

晴れているので洗濯機を回してから出かける。梅田の阪急のお菓子売り場の人混みの中、買物を済ませてから、西九条まで出て、ぶらぶらと歩きながら写真を撮る。野田の駅前まで出てきた頃、そろそろ寒くて夕方になってきたので、引き上げる。耳鼻科に寄って、…

晴れているので朝から洗濯機を回して干す。風呂に入りながら『時の矢』の続きを読んで、風呂掃除をする。この小説は、試しに真似してみるなら、「バスタオルを使って素っ裸の身体を、頭の先からつま先まで、くまなく水滴だらけにすると、バスルームの中に入…

マーティン・エイミスの『時の矢』を読み始める。帰り道の中古レコード屋にいよいよソニック・ユースが纏って入ってきたので、オリヴィエ・アサイヤスの『デーモンラヴァー』のサントラ盤と『Washing Machine』を買ってみる。決してYouTubeで試聴しないでCD…

先日JLGの『軽蔑』を映画館で見て、とても感心したので、アラン・ベルガラの『六〇年代ゴダール』を図書館から借りてきて、『軽蔑』の章を読む。大変面白いことが幾つも書いてある。 彼は、撮影時に最終的につかうことのできる材料(俳優、舞台背景、天候な…

昼までだらだらと眠る。重いと思ったら「しま」が私の上で寝ていた。寝返りを打とうとすると、「ぐるぅ」と鳴いて警告してくる。 喉が少しイガイガするのとわずかに咳が出るので耳鼻咽喉科に行く。たまたまセミリタイアした先生の診察の日で、混んでいる。薬…

ここ数日ふと思い出すと頭の中で流れるヨジャグルの曲は何だろうと思ってライブラリのfromis_9とか聴いていると、いい曲が多いので、頭の中で鳴っているメロディが掻き消されてしまって、すぐに、これだったんじゃないかと思ってしまう。でもやっぱり何か違…

ずっと天気が悪かったので溜まってしまった洗濯物を片づける。ところが粉石鹸が一回分しかない。とりあえず風呂に入りながら洗濯機を回す。風呂から出て、洗濯物を干して、自転車に乗って洗剤を駅前まで買いに行く。粉石鹸を二箱と、並べて置いてあった襟袖…

今日から封切りの『ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争』を仕事のあとに見られるのが判ってチケットを押える。久しぶりに、最前列のど真ん中の席を取った。今日はJLGへの弔いの焼香のようなものなのだから、スクリーンと私の間に、誰も入れずに見…