• 洗濯物を干す。風は穏やかで陽射しは温かいが、今日は「しま」は来ない。
  • 夜、本当に面倒な箇所を書いている。書いているというより整理している。歯車が嚙み合っている感じが全然しないまま、ぐるぐる空回りしている。何も進んでいない気もするが、このままでは駄目だという箇所と、ここを丁寧に組み立てなおせばいいのが判って、そのあとほんの数行だが書けたので、よしとする。

  • 謹賀新年。
  • 洗濯物を干しにベランダに上がろうとすると「しま」が先導してくれる。ちょっとだけベランダの柵から身を乗り出して外を眺めていたが、寒いからすぐに私を置いて部屋の中に入る。
  • マナコルダが指揮するカンマーアカデミーポツダムメンデルスゾーンの《交響曲第一番》のCDを机の上の山から抜いて聴く。ついでに《第四番》も。どちらもきびきびしていて見通しが良く、濃淡がくっきりしている。
  • 『CD OF JB II』の選曲がとても素晴らしい。ずっと家にいて、原稿を書いている。幾つかのパーツは仕上がっていて、それぞれの繋がりを見つければ終わるはずなのだが、それがとても難しくて、手を焼いている。去年のうちに終わらせたかったのだが。

  • カーショーの『ナチ・ドイツの終焉』を読み終える。見事な一冊。翻訳も良い。終わりを読むと始まりも読みたくなってベンジャミン・カーター・ヘットの『ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか』を読み始める。
  • 駅前で柚子に頼まれた風邪薬とサランラップを買って、隣町まで出て苺のケーキを四つ買う。本屋にも寄って来年の手帖と、池田喬『ハイデガー存在と時間』を解き明かす』を買う。
  • 一度帰宅して洗濯物を取り込み、お節を作る柚子の邪魔にならないようにまた出かける。「しま」は私の蒲団に潜り込んで寝ている。尼崎でぶらぶらと写真を撮る。雪も降ってくる。
  • 元町まで戻ってシネ・リーブル神戸でトッド・ヘインズの『ダーク・ウォーターズ』を見る。やはり映画は見なければいけないなと思う。映画の最後に、モデルになった実際の人びとが登場するショットがあり、なぜか滂沱してしまった。2021年の年の瀬に見るには、いい映画だったと思う。
  • 帰宅すると中古で買った『CD OF JB II』が届いていた。柚子とふたりで、年越し蕎麦を食べる。
  • どうせ明日も休みなんだからと、眠くなると一瞬も我慢せず蒲団に潜り込む。昨日もそうした。

  • 『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』を再読したらめちゃくちゃ素晴らしくてブラヴォー状態になったので、もう俺とは縁がないか……と思って買っていなかった若島訳の『アーダ』をいそいそと買ってきたのだが、今読んでいるのはカーショーの『ナチ・ドイツの終焉』。分厚くてたくさん人が死ぬ本なので、きっと『ターミナル』のキャサリン・ゼタ=ジョーンズも読んでいるに違いない。

  • 『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』を再読している。
  • この小説は小説としてとても素敵な小説なのに、全然そこを読んであげていなかったよ、ほんとナボコフ先生すまんです、と思いながら、すごく楽しく読んでいる。普通に小説を読む(尤もらしく出てくる数字は疑ったり、これ誰が言ってるんだよとか考えたり、うわここの繋ぎ巧いな、きれいな文だなと思ったらスナップ写真撮るみたいにページの端を折ったりしながら読む)ことをせずに、前は「20世紀アメリカ文学の巨匠の代表作」とか「言葉の魔術師の技芸あふれる」とか「あの『バルタザールの遍歴』でもレスペクトされていたすごい奴」って読み方(読み方なんてものじゃなくて、読んだというアリバイを作りたかった)だけで、おいしいところを食べずに丸ごと捨てていたんだな。むしろ、本のカヴァーだけを食べたんだ。

  • 朝起きると少し熱っぽく36.8度。軽い二日酔いのような頭痛の手前のような違和感が蟀谷のあたりに、膜を張っている。ロキソニンを一錠飲む。暫くすると熱は36.5度まで下がる。平熱。
  • 出かける。少し動くと、ずいぶん汗ばむな、とシャツの袖の湿り具合を見て思う。結局私のワクチン接種二回目の副反応はこれで終わり。少しだけ写真を撮りながら歩いて、帰宅する。蒲団に転がって、眠る。
  • 夕方、駅前まで出る。散髪をしようと思うが、目当ての店は潰れて、なくなっていた。最近行っていなかった。夕食を買って帰宅。
  • ちょっとだけ安かったのでブルーレイを買っておいたブレッソンの『ラルジャン』を夜中に独りで見る。写真としてもあまりにも完璧なフレーミングで吐きそうなほど緊張しながら見るがこれは映画である。完璧なフレーミングの静止から、カメラが動く。そしてまた止まる。再びこれ以上ないと思われるほどの「もの」がフレームの中に捉えられる。