行き返りの電車の中で、大島渚が昭和四〇年代の後半に、映画雑誌ではないあちこちの媒体で書いた、短めのエッセイばかりを集めた『青春について』を読む。文筆家としても脂の乗っている時期で、ネタとしては別の本で語られていることもあるが、どれもすっき…

朝から抽選で当たった県美の野口里佳さんのワークショップに参加する。自分でピンホールカメラを作って、写真を撮るのだ。暗室で印画紙を切り(私の隣が島袋銀河さんだったのだが、慣れた手つきで迷いなく、さささっと名刺大に切ってゆくのには舌を巻いた)…

会議のあと慌てて梅田まで出て、マクドナルドでポテトのMサイズを買って歩きながら食べて、ペットボトルの桃の紅茶で薬を嚥みくだし、フェスティバル・ホールに着く。大阪フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を聴く。指揮は尾高忠明。武満徹の《オーケスト…

今日は天気が悪いのは昨日から知っていたので、ぐずくずと昼前まで眠って「しま」に起こされる。「しま」は便通も良く見違えるほど元気。 大島渚論を書こうとしてコピーの束と本ばかり増える。中原弓彦の「喜劇映画の衰退」の冒頭の「見逃した方が多いと思う…

今朝は「しま」が寝室の窓際で憩っていたので、階下の居間の暖房も付けっぱなしだが、こちらもそのままにして家を出る(帰宅すると、やはり寝室の私の蒲団の中で丸まっていた)。薬を吞み忘れて家を出てしまった。 駅の自動改札で新しい財布に入れた定期をタ…

ずっとコムデギャルソンの二つ折りのファスナーなしの財布を使っているのだがもうくたくたになっていて、しかしどうしても気に入るものがなく、そのままにしていたのだが、先日、梅田の阪神の七階で見て、久しぶりにとてもいいと思ったものがあり、調べたら…

朝から健康診断。準備万端で行くが、昼前に終わるとくたくたになっている。検査の待ち時間には村上由鶴の『アートとフェミニズムは誰のもの?』を読む。すらすら読めるが、「アートワールド」の「社会化(しつけ)」のくだりなどで、やはりハッとさせられる…

帰宅してから慌てて晩ごはんを食べる。明日は健康診断があるので、21時までに食べ終えねばならないからだ。蒲団に寝転がって丸山眞男の「肉体文学から肉体政治まで」を読んでいると少し眠ってしまう。U君と零時過ぎまで話す。

昼前にだらだらと起きると柚子から「しま」が昨夜からちょっと調子が悪かったことを聞かされる。土曜だが、いつも行く動物病院は一日開いているらしく、まだ午前診察が間に合う時間だったので、慌てて準備をして「しま」をリュックに入れ、三人で歩いて病院…

仕事のあと、堂山のディスクユニオンでCDを引き取ってから環状線で福島まで出て、ザ・シンフォニー・ホールの日本センチュリー交響楽団の第278回定期演奏会(指揮は飯森範親)を聴く。開演前にロビーで、ユースオケのメンバーがリゲティの《六つのバガテル》…

仕事のあとシネマ神戸でデイヴィッド・フィンチャーの『ザ・キラー』を見る。マイケル・ファスベンダーがヨガで身体を整えながら最初の狙撃を待っている間に眠くなるが、ひたすらモノをあちらからこちらに移してゆくお仕事映画として、とても楽しかった。弁…

神島二郎を読んでいるうちに、丸山眞男をおさらいしておかなければと、いちばん軽い『丸山眞男セレクション』を引っ張り出してきて、「超国家主義の論理と心理」を電車の中で読みはじめる。通勤鞄の中には、返事を書くつもりで、頂戴した年賀状も入れてある…

帰宅すると寒さのせいかもう眠くて眠くて、届いたばかりのフィリップ・オードワンの『シュルレアリストたち』を持って蒲団に入るが、数頁も読まないうちに前後不覚。

仕事の帰りにミント神戸のOSシネマズで北野武の『首』を見る。 緑の川の浅瀬で、切り株のようになった兵隊の首を食っている真っ赤な蟹のショットからふと『ツィゴイネルワイゼン』を思い出すが、この映画の緑とは、利休の椀の中の抹茶だろう。利休の茶で媒介…

このところずっと家で溜め込んだ大島渚のDVDを見ているだけだったので、久しぶりに映画に行こうと思うが、もう今何をどこでやっているのかも判らない。あれこれ調べながら洗濯機を回す。風呂に入って、午後から出かけて、シネ・リーブル神戸でケリー・ライカ…

今日から仕事。蒲団の中で本を読んで、そのまま寝て、また読んで、の繰り返しは最高だったが、久しぶりに仕事に行くと、やっぱり仕事に行っていないと私はおかしくなるなと思った。 中原弓彦の『世界の喜劇人』を読み終える。いい批評文を読んだなあとつくづ…

ぐずぐずと休み明けの仕事のことなど考えだして眠ってしまったせいで、あれこれって夢じゃなくて本当だっけ?あとで手帖確認してみなくっちゃ式の重ったるい変な夢を見て起きる。 午後過ぎから柚子と実家に。家の中の猫たちは四匹になっていた。

今朝も「しま」はいつの間にか寝室にやってきていて、窓際で眠っている尖った耳の先がふたつ、その下で寝ている私には影絵のように見える。「しま」とふたりで柚子より先に起き出して、あんぱんを食べて、お重を引っ張り出してきてお節を突く。TVでマキノ雅…

今年は辰年だ。 風呂に入ってまた蒲団に潜り込んで中原弓彦の『虚栄の市』を読んでしまう。語り手に手を曳かれて、1960年代の東京の前衛やらメディアの薄暗い盛り場を笑いながら眺めて、ぐるぐる降りてゆくうち、すごく残酷で冷え切った底に連れてゆかれ、取…

朝は「しま」に起こされる。蒲団に潜って小林信彦の『1960年代日記』を読み終える。昨日三人と話をしていて、私はやっぱり大島渚のつかみどころのなさについて話したのだが、大島渚だって何だって映画は映画だ。そこに映像として在る限り必ずつかみ取ること…

夕方になってから出かけて、阪急東通商店街の焼鳥屋で帰省してきたN君とM君Iさんと会う。

朝起きて、TVを点けたらやっていた片岡千恵蔵の忠臣蔵映画が、どのショットもとてもモダンでたまらない。鳥籠の影と黒猫の使い方の巧さと、サディスティックなエロ。あとで調べたら佐々木康の『女間者秘聞 赤穂浪士』で、撮影は三木滋人だった。

十月の末ぐらいからずっとぐずぐずと左下肢の脛やら尻やら腰やらが痛い。整骨にはひと月通って、そうとうましになったのだが、どうしても脛と尻のピンポイントの痛みがなくならない。月曜に鍼で「坐骨神経痛に似たような症状だ」と言われて、整形外科に行か…

隣町の本屋にはまだ中公文庫の大島渚は入っていなくて、うぐいす餅をふたつ買って帰宅。夕食のあとひとつ食べる。柚子は暖房の前でうたた寝している。洗濯物を夜のベランダに干す。「しま」がベランダに出てくるが、私より先に部屋の中に戻る。森崎東の『帝…

「松濤美術館で見たしわざわざ出かけなくていいか」と思ったが今日を逃すともう見られないので、昼過ぎからぐたぐたと出て、市立伊丹ミュージアムで「牛腸茂雄写真展“生きている”ということの証」を見る。これは見ておいてよかった。プリントもサイズも最高…

集めた大島渚の本をあれこれ読み散らしながら神島二郎の『日本人の結婚観』を読んでいる。 ヤングのブルックナーの《三番》を今日も聴いている。ちょうど第二楽章の終わりで階下から晩ごはんに呼ぶ柚子の声。 もう芥川賞の候補者の名前を一人も知らないよう…

パルシネマしんこうえんで三隈研次の『とむらい師たち』のトーク。ガンメンの最初の仕事で三隅は、写し取られた死顔と写し取ったデスマスクの顔をひとつのフレームの中に収めている。この関係で言えば、葬博は万博のデスマスクである。この映画を見て、《太…

真夜中に大島渚の『白昼の通り魔』を再見する。ミナミの盛り場から始まってどんどん背景が真っ白になってくる川口小枝と小山明子の対峙がものすごい。『悦楽』の湯浅譲二の音楽もよかったが、この林光の音楽もとてもかっこいい。『悦楽』に続いて撮影は高田…

真夜中にアバドとイザベル・ファウストによるベルグの《ヴァイオリン協奏曲》を聴きながら先日撮った写真を選んでいる。とても厳しいがとても甘い演奏。

大島渚の『忘れられた皇軍』で《チュニジアの夜》が使われていたので、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの『At the jazz corner of the world』の一枚目を堂島のディスクユニオンで引き取ってきたらとても良くて、繰り返し聴いている。