私は遅刻が怖い。

  • 独り暮らしをしていた頃、何が怖かったって遅刻が怖かった。私は、朝が非常に苦手なのである。柚子と暮らすようになって、出社前に柚子が起こしてくれるようになり、嗚呼、遂に私の生活から遅刻の恐怖は消えた……と思っていた。だが、私の身体の奥に巣食う怠惰は、、そんな生半可ではなかったのだ。二度寝、と云う甘美な悪魔が其処にいたのである。
  • そんなわけで、朝、寝過ごす。八時に目覚め、五分で準備を整え、家を出る。残念ながら柚子が用意してくれた朝食を取る時間はなし(と云うのは間違いで、五分間の余裕はあったのだが)。いつもより一本遅い電車で会社へ。幸い、遅刻ではない。