アブドゥル・アルハザードの著作は所持しておりません

  • 11時起床。本の整理は、やっと漫画本に着手する。段ボール箱の狭間で、久しぶりに山本直樹の『フラグメンツ』なぞ読み返す。やっぱりいい。
  • 6時から会社の近所の居酒屋にて、同僚らと送別会。長く勤めてくれたスタッフさんが辞めるのである。が、彼女への慰労そっちのけで、座の中心を占めたのはやはり会社の現状の話。結局へヴィでダウナーな堂々めぐりだか地獄めぐりだかの飲み会になる。
  • 11時過ぎ帰宅。柚子は暖房の効いた自室で、うたた寝している。夢うつつの彼女と話をするが、じきに柚子は眠りの中に戻って行く。そのうち、何やらもにゃもにゃと私に話し掛けるが、その単語が聞き取れない。
  • すると柚子は「も、にゃ、にゃ、にゃー」と、或る単語を区切って発音した。だが、それでも私にはまだ意味が取れず、再び訊ね返した。幾度も訊き返されるのに堪りかねたのだろう、柚子はさっきより少し強い調子ではっきりと、再び口を開いた。今度こそ、彼女の唇から放たれた音は、私の中で意味を結んだ。それは間違いなく、こうだった。
  • 「ク、トゥ、ルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!」
  • ク、クトゥルーですとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?
  • ……のちほど、目覚めた柚子に訊ねたが、彼女の口からクトゥルーと云う単語が発せられたのは、私の聞き違いなどではなく、確かにじぶんでもそう云ったとのこと。だが、それをどういう文脈で私に伝えようとしたのか、はっきりとは思い出せない(取り乱した私が直後に「どゆこと!?どゆこと!?そは永久に!?」と訊ね過ぎたのもいけなかった)が、「本棚」に関係があったのは間違いないそうだ。
  • 私は『ネクロノミコン』なんて、持っていないのだが……。