杉本博司は、ものすごい。

  • 九時過ぎに宿を出て、森美術館で「杉本博司 時間の終わり」展*1を観るために、地下鉄に乗って六本木に。六本木ヒルズの地下のスターバックスでキャラメルフラペチーノのショートサイズを飲んでから美術館に入る。
  • 端的に感想を述べるならば、圧巻。今年どころか、これまで私が見物してきた美術展の中でも五指に入る素晴らしい展覧会だった。作品そのものの質の高さも然ることながら、展示のフォルムがまた、ずば抜けた美しさ。
  • 会場を入ってすぐの「観念の形」は、展示の形態と、写されているものそのもののふたつが同時に、20世紀美術の最高傑作のひとつ、スタンリー・キューブリックが映画『2001年宇宙の旅』で見せた「モノリス」を想起させる。
  • さらに荘厳と豪奢の「海景」シリーズに魂を奪われ、禁欲的な美が充溢しまくっている「劇場」の連作に息を呑み、「仏の海」に攫われ、「肖像写真」に舌を巻き……兎に角、私には、この展覧会は本当に見てよかった。と云えるだけだ。
  • 図録を買い求めようとするが、売切とのこと。無論そのまま予約注文を出し、杉本の批評文を集めた『苔のむすまで』と、「数学的形体:曲面0003 ディニ曲面:擬球をねじって得られる負の定曲率曲面」の葉書を土産に買い求める。
  • 美術館を出て、森アーツセンターギャラリーの「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」*2も覗いたが、こちらは最終日と云うこともあって家族連れで賑わっていた。だが、ひどくつまらない展示だった。ダ・ヴィンチになりたかったガキの頃のじぶんなら、大満足だったかも知れないが……*3
  • 森美術館の半券で入れる、森都市未来研究所*4の「都市の模型展--東京を視る--」*5を見物する。
  • 東京の都市模型の展示では、川井憲次の劇場版『機動警察パトレイバー2』のOSTから「Unnatural City」が流れていて失笑。観光客らしき男性が会場の係員に「この音楽、何の映画の曲でしたっけ?」と訊ねていたが、係員氏は「映画の曲ではなく、この展示のための曲だと思います」と答えていて苦笑。
  • 前から観たいと思っていた、押井守の監修した『東京静脈』と『東京スキャナー』が上映されていたのは僥倖。ガキの頃、同じく「劇パト」にヤラれた親友のI君と連れ立って、都市の川辺の風景だの古いアパートだのを写真に撮る、ロケハンごっこに熱心に興じたのを思い出す。
  • 展望台*6から東京の風景を眺める。その後、そろそろ良い時間になったので、地下鉄で日比谷に。JRの高架下の居酒屋でトンカツ定食を掻き込んでから、日生劇場に入る。

*1:http://www.mori.art.museum/contents/sugimoto/

*2:http://www.leonardodavinci.jp/

*3:あとで地下鉄で、この展覧会の図録を腕にしっかと抱えた、本当に幼い頃のじぶんみたいな少年が、お祖母さんに連れられて乗っているのに遭遇して、苦笑。

*4:http://www.tokyocityview.com/mufi/

*5:http://www.tokyocityview.com/mufi/exhibit/2005_01/index.html

*6:http://www.tokyocityview.com/ja/index.html