咆哮する悲愴

  • 伊丹アイフォニックホール*1で、伊丹シティフィルハーモニー管弦楽団*2の演奏会を聴く。会社の同僚がオーケストラのメンバーで、お誘い頂いたのだ。曲目は、『エウゲニー・オネーギン』第3幕から「ポロネーズ」、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第6番「悲愴」と、チャイコフスキー尽くし。指揮は客演だそうで、藏野雅彦*3氏。不勉強なので、初めて知る指揮者である。
  • 乗るべき電車を間違えたり、ホールの場所が判らなかったりで開演には間に合わず、最初の『エウゲニー・オネーギン』は会場の外で聴く。続く「ヴァイオリン協奏曲」は独奏が田村安祐美。
  • 率直に云って、それほど期待していた演奏会ではなかった。ところが、その後の「悲愴」が、そんな気分を吹っ飛ばす演奏だったのだ。藏野の指揮は表情づけの濃淡に強弱と勢いが非常にあり、奏者も各々のパートに耳を澄ませながら、高い緊張感を維持しつつ、一心不乱に演奏しているのが力強く迫ってくる。ガサツな音が飛び出してこないのが良い。ちょうど、鑿一本で削り出された中世の木像を思わせる、野蛮と静謐のふたつを備えた音楽だった。率直に云って、このオケからこれだけの音が聴けるとは思っておらず、吃驚した。
  • チャイコフスキーは、本当に凄まじい音楽を作ったことが肌で感じられる演奏会だった。非常に満足。
  • 藏野雅彦の指揮する音楽を、もっと聴いてみたいと思った。
  • 梅田で本屋とレコード屋に寄り、実家に。