映画は未だ死せず

  • 試写で『ココシリ』*1を観る。嗚呼、これぞ映画。
  • それは実話を元にしているとかCGを使っていないとかそういうことではなくて、映像と音の持つ力が信じられていて、それを最大限に生かすシンプルで力強い編集が為されていて、さらに嬉しいことに画面に映し出される俳優たちの顔がどれも陰影に富んでいて、しかも上映時間が90分を超えないのだから! 
  • 最近観た映画で云えば『ヒストリー・オブ・バイオレンス』に似た肌触りだが、標高5000メートルの土地で展開される暴力と死には、クローネンバーグのそれにあった湿り気(愛液と血糊)の含有度はゼロで、カラカラに乾き切っていて、独特である。
  • チアン・ウェンが出ているにも関わらず『ミッシング・ガン』を観ていない己の不勉強は棚上げして断言するならば、ルー・チューアン(陸川)と云う監督と、撮影を担当したカオ・ユーの名前はきっと記憶しておくべきだ。そして当然だが、『ココシリ』は必ず映画館で観るべき映画であると、くどいぐらい断言しておく。