マシュー・バーニーの映画を観る

  • マシュー・バーニーの『クレマスター』全5部作を一挙に上映する「クレマスター・サイクル」*1を、朝から大阪の南の端の鶴見区民センターまで柚子と出かけて(無理矢理に引っ張っていって・苦笑)、遂に観る。
  • キューブリックのゴージャスとエレガントを、クローネンバーグの医療器具的なサド&マゾヒズムを、モダンなインテリアで包み込んだ親ブルジョワ的な美学だが、あまりにも手慣れているので、やはりこれは素晴らしいと呟くしかない(特に『クレマスター3』と『クレマスター5』の出来が良い。『クレマスター2』には、それらを内側から食い破る不穏さがあるように見えたが、真ン中あたりでちょっとウツラウツラしてしまったので、偉そうなことは云えない)。連作の最初に撮られた『クレマスター4』などはやはりド下手なのだが、どんどん巧くなってゆくのが小憎らしいほど。
  • メトロポリタン・オペラはマシュー・バーニーを演出家に起用すれば良いのに。芸術愛好家のブルジョアからも好かれつつ、ヨーロッパの先鋭に負けない美しくて古臭くない舞台ができるはずなのだから。彼の手掛けるワーグナーが見たい。悪くないと思うのだが。