- 朝から恐ろしく暑い。積み上げてある文庫本の山の頂から、携帯電話でネットに接続していた頃にいそいそと探して買ったカルペンティエールの『バロック協奏曲』をピックアップ。通勤電車の往路帰路で読む。
- メキシコとヴェネツィアとパリにドン・キホーテとシェイクスピアがミックスされ、純銀製の便器に小便の飛沫がリズムを刻みヘンデルとスカルラッティとヴィヴァルディがエロい恰好の女ばかり70人のオーケストラを率いてキューバのドラムに出会ってフリージャズの魂でジャム・セッションし、さらにサン・ミケーレでバロックの三楽匠はストラヴィンスキーの墓石を前に酔っ払いながら20世紀モダニズムの音楽を語る。ワーグナーの葬列を見送ると、やがてルイ・アームストロングを貫いてDCPRGさえ楽々と召喚する。小説の力とはかくも凄まじい。その力はDEATH NOTEどころのレベルではない。生も死も時間も空間も思うが儘だ。このカルペンティエールの偉大な小説の遥かなる旅の前では、スティーヴ・エリクソンの黒い時計も色をなくす。鼓直の訳文も良い。山形浩生氏のサイトに全文がアップされている*1ので、古楽が好きとかジャズが好きとか文学が好きとか云う奴は四の五の云わずに読むこと! ほんとスゴイから。