- 今敏の『パプリカ』*1を試写で観る。概ねよろしいのだが、今敏は小さく纏めたがる(或いは総てを語りたがる)傾向がある。もっと弾けてくれたら傑作になったかも知れないのに残念。そう云う意味では、萩原玲二の渾身の漫画版はやっぱり素晴らしかったなあと思った次第である。お読みでないなら、ぜひ!*2
- 仕事を終えて、梅田で柚子と待ち合わせて、本編開始ぎりぎりでブライアン・デ・パルマの『ブラック・ダリア』*3を観る。ジェイムズ・エルロイの原作はかなり前から持っているが未読。第二次大戦が終わった直後のハリウッドを舞台にしたノワール地獄めぐり。色彩の表現にずいぶんと力の入った映像(撮影はアルトマンの『ロング・グッドバイ』や『未知との遭遇』のヴィルモス・ジグモンドだった!)と大変圧縮された語り口でずいずいと展開する。人間の生きることのややこしさを集約したような刑事ブランチャード役のアーロン・エッカートの芝居が良かった。ミラード警部補役のマイク・スターも。さらに付け加えるなら「ブラック・ダリア」嬢の死体も。ケネス・アンガーの名著『ハリウッド・バビロン』に載っていた写真そのままなのだ。久しぶりのデ・パルマの映画だったが、充分に愉しめた。父親と昔、北野劇場でデ・パルマの『アンタッチャブル』を観たのを思い出す。
- 他に行き先が思いつかなかったので堂山町の「org」*4でお茶を飲んでから帰宅する。飛び乗った帰りの電車がえらく混んでいて、苛苛。
- 仲谷昇が死んだ。中平康の『砂の上の植物群』は良かったなぁ。ルポ『AV女優』の永沢光雄も今月初めに死んだそうだ。