今年の初出社

  • 会社を辞める夢を見て起床。今日から会社が始まった。
  • 久しぶりに朝から外に出ると、恐ろしく寒さが堪える。
  • 電車のなかで日比野士朗の「野戦病院」も読み終える。戦争を戦った当時の日本人と、いまの私たちはまるで違う存在かと云うと、やはりそんなことはないのである。
  • ちょっと引いてみる。野戦病院での暮らしは、最前線でのそれと違って、すっかり生の世界である。それはつまり、何くれと金が掛かると云うことだ。

窓際の一人の剽軽な兵隊が、渋い声で低い琵琶歌を口ずさみながら、千人針の赤い糸を、鋏で、ちょきちょき切っている姿が私の目にとまった。彼は自分のしていることが、あたりに対してちょっと気恥かしいので、ときどき滑稽なことを言ってみんなを笑わせた。
千人針には「死線を超える」五銭白銅や、「苦戦を超える」十銭白銅やらが赤い糸で丹念に縫いつけられていたが、いよいよ金に窮したとみえて、彼はそれを流用することをおもいついたのだった。おそらくこの千人針の腹巻を彼に贈った人が、夢想だにしなかったであろうような、それはまことに滑稽でもあれば、また悲しい姿でもあった。

  • 再び『パックスブリタニカ』を読み始める。20世紀後半から現在に至る米国は19世紀の大英帝国の行動様式を模していることがよく判るのが面白い。