- ミクシィで私の日記*1を引いておられる方があり、何だろうと思って覗きに行くと、先日、その演奏会を聴きに行ったばかりの作曲家、江村哲二が逝去したとのこと*2。驚く。享年47歳。演奏会の前の講演*3の折、少し顔色が妙な具合だなとちらっと思ったが、初演に接しての昂ぶりなのだと捉えていた。膵臓ガンだったそうだ。終演後の江村の笑顔と、最前列の私のすぐ隣の席で涙を流していた女性の方がおられたのを、はっと思い出し、女性の涙の意味を思いめぐらす。
- 遺作となった「可能無限への頌歌」は、その内容や発表の時期などからも、まさに彼の「白鳥の歌」と位置づけられることになるのだろうが、決して江村哲二の創作の最高峰に位置する作品ではないと思う。そして、作品集『地平線のクオリア』に収められた「プリマヴェーラ(春)」を聴けば、彼が美しい声楽曲を書けるひとであったのは間違いない。「可能無限への頌歌」を、その完成に至る模索の一過程とするような、やりたいと云っていたらしいオペラに、江村が取り組む時間がなかったのは、とても、悲しいことだと思う。
- リチャード・ローティも亡くなっていたのを、今日になって知る*4。