註と索引は訳して!

  • 柚子と待ち合わせて、『ツイン・ピークス』の続きを借りて、帰宅する。
  • バーバラ・W・タックマンの『世紀末のヨーロッパ』を読み進める。
  • 原著にある注と索引を削ってしまっているのは、犯罪的である。
  • 人びとや事件のおのおのは、精緻なモザイク画のように関係づけがあり、それらが思わぬ場所でふいに顔を出し、さらに大きな絵が立ち上がってくるのが、この本の面白さのひとつである。ところが、索引がなくては、その関係の糸を再び辿るのが、非常に不便である。文庫化のときには、ウェブ上でPDFで公開するだけでもいいから、何が何でも索引と注釈を訳出してほしい。それが、こういうマスターピースに対する礼儀ではないか!? タックマンの『八月の砲声』の文庫版では、ちゃんと下巻に索引が付いている。
  • 第一次大戦時のフランスの指導者として高名なジョルジュ・クレマンソーは、タックマンによると、その長かった政治家としての航跡を振り返り、こう云ったそうだ。

「芸術家だけが正しい道を歩んでいる」と、彼は生涯の終わりに言った。「この世界にいくばくかの美を与えることはできても、理性を与えるのは不可能だということかもしれない」。