- 伊藤計劃『虐殺器官』を読了。
- さまざまなアメリカ映画や『モンティ・パイソン』、ルーシャス・シェパード、コンラッドの『闇の奥』、押井守、『メタルギアソリッド』シリーズ、大塚明夫(私には、ウィリアムズの声は彼しか考えられない)などからの木霊が響いているが、ひと言でどう云う小説だったと云えば、ふかぶかとした、紛れもなく私たちの時代の、愛の物語だった。
- この小説の最後で、世界をどん底に叩き落しながらクラヴィス・シェパード大尉が護ろうとするものは何か? それは、アメリカの建国の理念である。大尉の足許からは、アメリカの内戦であるにとどまらず、南北戦争は、世界のデモクラシーの灯を守るための戦争なのだと、リンカーン大統領がゲティスバーグの戦場の跡に作られた国立墓地で語った、あの演説が聞こえてくる。
未完に終わった彼らの高貴な事業を引き継いで、ここで身をささげなければならないのは、むしろ生きているわれわれです。(……)われわれは、名誉ある死者たちから引き継いで、彼らが最後まで全力をつくした大義にたいして、なお一層貢献すべきです。----彼らの死を無駄にしないために、われわれはここで決意しましょう。
神の下でこの国に新たなる自由を誕生させることを、----そして、人民の、人民による、人民のための政治を地上から滅ぼさないことを----。*1
- 以下は個人的なあれこれ。サラエヴォで小型の核が使われて、核兵器が「使える」兵器になってしまう……と云うのは、高校の時、親友のI君と構想したガンダムの同人誌のネタのひとつだったのを懐かしく思い出す。核をテーマのひとつに据えようと私が目論むと、その企画は実現せずに潰えるなぁ……。P8とか。そう云えば、そのとき「宇宙世紀じゃなくて西暦を使おう」とも云っていたけど、そう云うガンダムが今度始まりますよ*2、I君。
- 再びバーバラ・W・タックマン『世紀末のヨーロッパ』に戻る。
- 柚子と待ち合わせて帰宅。