シェロー演出の『ヴォツェック』を観る

  • 朝と昼、姑の病院へ。
  • パトリス・シェロー演出の『ヴォツェック』を観る。これはかなり良かった。ロシア構成主義のポスターみたいな、赤、黄、青に塗り分けられた、見事な動きを示すシンプルな装置が載った舞台の上で、ドイツ表現主義の映画を思わせる人物たちがグロテスクに転げ回る。アルバン・ベルクは、このオペラをベートーヴェンの『田園』の一節から引用して始めるが、楽聖の美しい旋律は転倒し、ずっこけて、アルカディアなど夢のまた夢の世界を描き出す。古い秩序は壊れ、革命への期待も潰えて、底辺の奴らが底辺の奴らを食い合うだけの世界、なんだ今のわれわれの世界じゃないか。オペラや古典芸術の傑作とは、常に「現在」の作品なのである。
  • シェローの群集の処理は、力強くて、とても巧い。
  • 歌手たちもその身体を含め、良いが、バレンボイムの音楽はちょっと気合いが入り過ぎて、まるで虚仮威しのホラー映画のサントラのようになってしまっているが、さっきも書いたように、貧乏人が貧乏人を喰うゾンビ映画のようなオペラであるし、こういう音作りもアリかも知れない。シェローの演出には、もっとキンキンに冴えた、いっそケミカルな演奏のほうが合うと思うけれど。
  • U君邸で企画。第一段階は完成。そのまま水泳教室へ行く。平泳ぎ。
  • 帰宅後、柚子に夕食を付き合ってもらい、その後、うたた寝してしまう。