『スウィーニー・トッド』を観る。

  • 雨。夜になると、びしょびしょとした雪に。
  • 昼遅くから柚子と姑の病院に。その後、ふたりで近所の映画館のレイトショウで、ティム・バートンの新作『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師*1を観る。スティーヴン・ソンドハイムによる大変見事なナンバーの並ぶミュージカルの映画化であるが、この映画でティム・バートンがひたすら拘泥し、実現していることは兎に角、ビシャシャシャシャァァァァァと迸る鮮血である。
  • だから、この映画はミュージカル映画を実現したいと云うよりも寧ろ、喉笛の辺りから勢い良く噴きあがる血の赤と、真一文字に喉を切り裂く剃刀の放つ銀のギラリとした輝きのふたつを、効果的に画面に奔出させるためにぴったりだと云う理由で、常に陰鬱な灰色の天蓋に覆われているロンドンを舞台とする、このミュージカルが選ばれたと云うふうであり----云い換えれば、だからこの映画のめざす大半はオープニングのタイトルバックであっさりと実現されてしまう。それ以降は、きちんと図面通りに仕上げられてゆくのを眺めるだけ、と云うような具合になるわけである----ヘレナ・ボナム・カーターがこんがり焼き上がる場面も含め、やはりこれは、紛れもない見事なスプラッタ映画だった。
  • 理髪師の妻を演じたローラ・ミシェル・ケリーが良かった。
  • 私は銃で頭を吹っ飛ばすのは平気なのだが、ナイフとか剃刀のスプラッタはさほど得意ではなく、特に柚子が苦手としているので、これは私ひとりなら笑っていられるが、エライものを選んでしまったと映画館の暗闇の中でちょっと思った。此処までガッツリとしたスプラッタ映画だとは(苦笑)。