『浮雲』、『ダーティハリー』、『誘う女』を観る。

  • 成瀬巳喜男の『浮雲』を観る。『めし』や『山の音』に比べると少しもっちゃりとしている。しかし兎に角、成瀬は観られる限りは観よう。
  • 続けてドン・シーゲルの『ダーティハリー』を観る。子供のときにTV(山田康雄の吹替)で見て以来。或る種の完璧な映画の一本だろう。競技場のシーンなどはさすがによく覚えていた。ラロ・シフリンによる音楽もめちゃめちゃ恰好いい。
  • 続けて、ガス・ヴァン・サントの『誘う女』を観る。ニコール・キッドマンの最高傑作の一本。『ダーティハリー』がドキュメンタリ映画のスタイルなら、これはTVドキュメンタリのスタイル。ひたすら表面を滑ってゆく映画。ラストのショットが素晴らしい。
  • 氷に閉じ込められたニコール・キッドマンは、ちょうどダミアン・ハーストの鮫や牛のように、厚みを失い、まさに表層の画面だけに存在する女となったわけであり、彼女が最も望んだ存在にしておきながら、その後、その氷の面の上をるんるんとスケート靴で滑り、やがて、スクリーンとしての氷面を真っ白な、不可視なものにしてしまう。これほどの復讐はない。また、凍りついた湖畔に佇む廃墟が、ガス・ヴァン・サント黒沢清の近さを示している。
  • 続けて『エレファント』を途中まで観て、眠る。