警察に出頭し、『ランボー 最後の戦場』を観る。

  • 昼、警察から電話が掛かってくる。旧姓で、柚子の名前を告げる。何だろうと思っていると、定期券を拾得して、預かっているとのこと。会社の柚子に電話すると、改札に入るときには既になかったので、家に置き忘れてきたのかと思っていたとの由。駅前の自転車置き場で落としたようだ。慌てて私が警察に取りに行く。
  • 正面玄関を入ってすぐのところに座っている署内の案内係のおねえさんが橘れもんみたいな感じのお顔で、「ひとを殺したんですけど」と云ってみたくなるが、堪える。落し物係に行き、窓口で遺失物の捜索願を書き、続いて、それを取り消す書類を書き、判を捺す。
  • 警察署の中のジュースの自販機は百円だったので、小さなサイコロ形ナタデココ入りのヨーグルト飲料を飲んで帰る。
  • そのまま梅田に出て、かっぱ横丁の古本屋をぶらり。
  • 三宮まで戻って、ミント神戸のレイトショウで、シルヴェスター・スタローン監督・主演の『ランボー 最後の戦場*1を観る。
  • 上映時間はキッカリ90分。凄惨な内戦の続くビルマを舞台に、すさまじい殺戮シーンが、これでもかと繰り出される。凄い。映画作家スタローン、サム・ペキンパーの亡霊が乗り移ったかのような本気っぷり。画面に集中するあまり、私の近くの席に座った、可哀想に鼻が詰まっているのだろう、強烈に臭い香水をぷんぷんさせる女がまるで気にならなくなったほどだ。
  • 今のアメリカ=映画は本当に終わらない戦争に取り憑かれている。しかしジョン・ランボーは最後に、ビルマやタイのジャングル以上に、彼を受け入れる余地など些かも存在しないかも知れない現在のアメリカに帰郷するのだ。トム・ハンクス失語症に陥る『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』より、メリル・ストリープの滑舌が地滑りを起こしトム・クルーズが絶叫する『大いなる陰謀』より、寡黙なスタローンの巨大な肉体が動き回る『ランボー 最後の戦場』のほうがよっぽど、アメリカと映画と戦争とは何かを、私たちに語り掛けてくる。傑作。
  • 柚子と待ち合わせて、携帯の電池が切れて連絡を取るのに往生したのだったが、一緒に帰宅する。