成瀬の『晩菊』、『夫婦』、『放浪記』

  • 近頃どの貸ヴィデオ屋も棚を入れ換えて貸DVD屋になってきているが、DVD化されていないので棚にヴィデオが残っていたのを借りてきた、成瀬巳喜男の『晩菊』を観る。これは大変見事! これまで観た成瀬映画の中でも、すごく好きな一本だ。年増の女優たちが素晴らしい。ケロッとしている有馬稲子も可笑しい。男たちのダメさ加減も。まともな男加東大介だけ(笑)。
  • 続けて『夫婦』も観る。成瀬版『アイズ・ワイド・シャット』の趣き。杉葉子のツンとした顎が好き。今なら綾瀬はるかの顎を思い出していただければよい。しかしこの頃の岡田茉莉子の可愛さはヤバイ。成瀬巳喜男の映画の、各々のシーンの切り替わりのタイミング、路地や廊下の撮り方、加東大介上原謙の使い方、映画の最後に持ってくるシークエンスとその終わらせ方などが、私はとっても好きだ。さっきから好きだ好きだしか書いていないが、成瀬巳喜男の映画なら幾らでも観ていたいと云う気持ちである。
  • 雨。
  • 梅田までヴィデオを返却しに行き、帰りに柚子と待ち合わせて元町の「ムジカ」で夕食。
  • 帰宅後、成瀬巳喜男の『放浪記』をDVDで観る。伊藤雄之助がとてもいい。高峰秀子もブスメイクで林芙美子になり切っている。ひとは他人を救うことなどできないのだ。せいぜい寄り添うことができるだけである。
  • 夜中、地震。二度ほど、少し揺れる。
  • イヴ・サンローラン、逝去。20世紀美術のとても偉大な巨匠(私はそう確信している)がまたひとり……。