肩のり猫

  • 明け方まで書き物。昼過ぎに起き出して、スパゲティを茹でて腹ごしらえをして、日が暮れる頃、アルバイトに。
  • 夜遅く帰宅してから、柚子と夕食。台所と食卓を行き来する柚子の肩の上に、「しま」はぺたりと貼り付いている。ずり落ちそうになると、もぞもぞと巧く体勢を立て直している。椅子に坐って、ふたりを笑いながら眺めている私を、ビー玉みたいなくりくりした目で、凝視している。
  • この頃はひたすら一柳慧の音楽を聴いている。起きてから眠るまで。だからもちろん、スピーカーの前で蹲ってじっと聴いているときもあれば、本を読みながらのときもあり、階下で皿を洗いながらのときもあり、だから流しっぱなしの水道の蛇口のようになっているときもあるのだけれど。そして、一柳以外に聴くのはジョン・ケージだったりスティーヴ・ライヒの初期の作品なのだが、それらは一柳の音楽との関連で聴いているだけなのだ。グーグルマップの附属機能で、世界中で今、何処で、何がどれだけ聴かれているかが棒グラフで表示されるとしたら、きっと拙宅からはバベルの塔のように一柳慧の音楽が、うず高く積み重なり、天蓋の底をチクチクと突いていることだろう。