- 朝からのんびり過ごしている。iiさんから携帯にメール。ようやくじぶんがきょうなぜアルバイトの休みを取ったのか、思い出す。超感謝! 慌てて準備をして、元町の兵庫県民会館へ。渡辺文樹の『ノモンハン』と『天皇伝説』の上映会。
- イカツイお兄さんが入り口や会場前で目を光らせているのは、いつものこと。iiさんの前で、向こうからどどどどと走ってきた渡辺監督の娘さんが、いきなりずざーっとこけて、照れくさそうにニコニコ笑っていて、可愛らしい。
- 『ノモンハン』からみる。正直、驚いた。画面が水を含んだようで、映されるヒロインがしみじみと美しい。いわゆる「女性映画」として、傑作になっている。渡辺文樹の映画は、とにかく渡辺文樹が前へ前へせりだしてくるのが常だが、遂に脇から画面を支えるのを覚えたようで、天皇制と日本陸軍から疎外された、しかしそのフレームの外へ出ることはできない元エリート軍人を演じて、ヒロインをこれでもかと抑圧するのだ。大胆なクローズアップでヒロインの表情に密着するキャメラが、すっかり欲情していて、素晴らしい。傑作。
- iiさんは既に『ノモンハン』をみていたので帰る。さっきまで会場はがらがらだったのだが、会社帰りのひとたちで、すっかり一杯になっているのに驚く。『天皇伝説』は、偽史(しかしこのくらいのことは、紀伊國屋くらいの大きさの本屋に行けば、日本近代史の棚にしれっと並んでいる)がひたすら語られて、いきなりアクションが始まってからの加速ぶりと、渡辺文樹の前へのせりだしっぷりに、喝采。
- ところで、渡辺文樹は、天皇家が大好きなのではないか。殆ど愛していると云ってもいいのではないかとさえ思った。
- 『腹腹時計』のときは画面と音のズレぶりがずいぶん気になったが、今回はほぼ完璧に制御されていた。
- 『罵詈雑言』のときからみているけれど、しかし渡辺文樹の家族は立派だなぁ。
- 大変満足して、帰宅する。