脅える巨人。

  • アカデミー賞のことを、少し。
  • イギリス人が撮ったインドの映画やニッポン人の奇妙な習俗の映画を讃えることで、アメリカはみずからを、本当は内向的で害のない、とても他者に寛容な善人なのだと、自身に信じ込ませようとしている。だが、たとえそう云うふうな善人であるとしても、「女」と「子供」へ深い痛苦を与え、犠牲にし続けてきたアメリカの姿を描いてみせる『チェンジリング』はおろか、アメリカが現在の心境に至った道程を、WWIから丁寧に描き出した寓話の『ベンジャミン・バトン』でさえ賞が獲れないのは、現在のアメリカがどれほど「外」を意識から追放したいのかを、とてもよく象徴しているように思う。
  • シャーリー・マクレーンから紹介されながら、お目目うるうるになっているアン・ハサウェイが大変可愛らしかった。