矛盾の普遍性と矛盾の特殊性との関係は、つまり矛盾の共通性と個別性の関係である。その共通性とは、矛盾があらゆる過程に存在し、しかもあらゆる過程を初めから終りまで貫いているということであり、矛盾とは、運動であり、事物であり、過程であり、また思想でもある。事物の矛盾を否定することは、すべてを否認することである。これは共通の真理であって、古今東西を通して例外はない。だから、それは共通性であり、絶対性である。しかし、こうした共通性はあらゆる個別性のなかに含まれており、個別性がなければ共通性はない。かりにあらゆる個別性をとりさったら、どんな共通性があるだろうか。矛盾はそれぞれ特殊であるから、個別性がつくられるのである。すべての個別性は条件的、一時性に存在するものであるから相対的である。
この共通性と個別性、絶対性と相互性の道理は、事物の矛盾についての問題の真髄であって、これがわからないのなら、弁証法を放棄したに等しい。