マリア・ジョアン・ピリスを聴く。

  • 雨。MR君が誘ってくれたので、すごく久しぶりに西宮北口の「兵庫県立芸術文化センター」へ。
  • マリア・ジョアン・ピレシュのピアノ・リサイタル*1を聴く。彼女の頭上30cmぐらいのところに、目にみえない膨大な帯状の音楽の束が、すさまじい速さで流れている。それを、ピアノの前に坐ったピレシュは集中すると、いきなりさっと掴み取る。そのまま、その滔々たる水流を、目の前のピアノへ、水路となった彼女が流し込んでゆく、と云うふうなことを想像した。ショパンの「ピアノ・ソナタ第三番」はそういうふうで、耳がじんじんと冴えてくる演奏だった。
  • パヴェル・ゴムツィアコフのチェロは、じぶんの音楽を奏でよう響かせようとして、しゃかりきになり過ぎる。水路であるピレスがなぜ彼を起用しているのか、ちょっと考えても判らなかった。まさか、対比などと云うことではないのだろうが、能弁すぎて貧しくなったチェロの後ろから、ぽーんと響くピレシュのピアノの音が、すさまじい。
  • ショパンの「マズルカ」をピレシュが弾き終えた瞬間、舞台の照明が総て落ちて、ふかぶかとした闇が訪れた。しかしそれは一瞬で、すぐに舞台に光が戻る。どうせなら、ずっと真暗にしておくべきだった。
  • マクドナルドでMR君と延々と話し続ける。歴史のこと、音楽のこと、歴史のこと、……繰り返し。
  • 天満橋へ。何でもいいから書こう。書きたいように書こう。書けるときに書こう。恥をかいてもいいから……と、思った。
  • 帰りの電車のなかにいると、柚子から携帯にメールがくる。今Perfumeが『タモリ倶楽部』に出ているよ、と。私は彼女のなかでも、すっかりPerfume好きなひとになっているのだった。