『破』をみる

  • 昼ごろまでグタグタと眠っている。柚子と一緒に起きて、遅い遅い朝食をとる。
  • 皿を洗ったり、洗濯をしたり、風呂に入り、風呂を洗って、洗濯物を干したり……。柚子は家のなかの掃除をしていて、「しま」はその邪魔をしている。
  • 暑いのでベランダの硝子戸を開けて、網戸にしていると、いつも開けっ放しの私の部屋の扉が、吹き込んだ風で、バタンと閉まるときがある。じぶんが自由に出入りできるところは、常にその状態が保たれていないと不満な「しま」が、いつの間にか閉まっていた扉の向こうで、びゃーびゃー文句を云っている。あんまりなくものだから、柚子が隣の部屋から出てきて、扉を開けてやると、敷居のところで「しま」は、満足気な表情で、部屋の奥から振り返った私を一瞥すると、柚子が掃除をしていた部屋に、さっさと入っていった。
  • 夜、柚子と出かける。岩屋の駅前でU君と待ち合わせて、三人で、HAT神戸の109シネマズで『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』をみる。この映画館に、こんなにひとがいるのをみたのは初めてだ。
  • 序盤から、大変な勢い。『太陽を盗んだ男』の音楽が劇伴として使われていて、耳が驚く。
  • しかし途中から、全身がカァァァァァァッと熱くなってきて、口をぱかんと開けて、ひたすら画面を注視することしかできなかった。大変素晴らしい傑作だった。TV版から旧劇場版、『ラブ&ポップ』に『式日』、そして『序』は総て、この『破』を生み出すための土壌であった、と断言したい。これまで庵野秀明の撮ったもので、最も素晴らしいデキだった旧劇場版を遥かに超える、ラディカルなフィルムだった。鶴巻和哉の仕事の冴えを強く感じた(真希波・マリ・イラストリアス、かなり私は好き。コドモたちがこれまでみたいにグジグジしていないのもいい)。兎に角、非常に満足する。
  • 帰宅して、柚子とお茶漬けを食べる。
  • 1970年のブーレーズが振る『パルジファル』の第一幕を聴く。