じりじりと。

  • 朝、目が醒めてから、自室の椅子に坐り、じんわりと意識し始めてみると、先月末にじぶんで立てた予定を、全然、消化できてない……。早くやらなければ。しかし、今日も出かける予定が既にある。焦る。
  • 電車のなかで『江藤淳コレクション』の第3巻を広げ、「大江健三郎の問題」と「青春の荒廃について」を読む。前者のなかの「大きな兎」と題された文(それは江藤が大江を描いた「てのひらの肖像画」である)が本当に素晴らしい。全文引きたいほどである。例えば「私は棒立ちのまま吐きつづけながら、なぜ自分は悲しいのだろう、いったい何に自分は耐えているのだろう、というようなことを思っていた」のあとの、江藤を介抱する大江のひとりごともいい。後者の、「荒廃も成熟もいやなら死んでしまうほかないが、実は今頃死を想うのではもう遅すぎる」とか「夢を託すべきものが周囲になにもないというのは暗澹たる状態だが、心あるものがそういう孤立に耐えて自から成熟を心がける以外に惨状を救う道があるはずがない」とか「批評は自分の感受性を試みられることであるが、同時に対象と倫理的な関係を持つことでもある」など、圧倒的に鋭く、同時に、血が通っている。夜は天満橋へ。
  • 帰りの電車のなかで、コンラッドの『闇の奥』を読む。短い小説だが、少しずつしか読まないのである。