ようやく。

  • 真夜中二時過ぎ、ようやくインタヴュの纏めが終わる。頭がじんじんして、足の裏が地面から数粍浮いているような心地のなか、自転車を漕いで、終夜受け付けの窓口のある郵便局まで行き、インタヴュの原稿を送る。窓口のオヤジが、こちらがまだ質問しているのに、蛇腹式の扉にずっと手を掛けたままで(寧ろ、アルミ製のサッシの端を掴んでいる彼の指先には、いつでもそれを引っ張れるように、力が溜め込まれている)、如何にもすぐに私との話を打ち切りたいふうなのが、いや、或いは不精髭をだらしなく生やした私の面がそんなに凶悪な強盗にでもみえるのか、些か不愉快である。正確に云いなおすなら、不愉快とも云えないくらいの、ごく薄っすらとした不快感。再び自転車に乗って帰る道で、まだ小さい仔猫三匹(皆一様に、その面積こそ総て異なるが、パンダ柄が四肢の何処かに入っている)が、ぴょこぴょこ動き回っているのに遭遇する。元気でやってくんだぞ。
  • 頭の奥でひゅんひゅん音がしているので、もう寝ることにする。枕に頭を乗せたとき、こめかみのあたりでさぁぁぁぁぁぁっと云う音がしていて、鈍い頭の中を懸命に流れている血の音に違いないと思い、しかし、これは起きたらもう忘れているだろうな、と考えた。