終日、うちのなかにいる。

  • 小松左京の『継ぐのは誰か?』を読み終える。後半50枚ほどの、もうひとつの人類の来歴を語る箇所が読みどころ。其処を読ませるための、前半部分の手練手管の引っ張りの強さは、やはり巧いものである。たいへん爽やかな青春小説としても読める。しかし、SFと青春小説のかたちがこんなにも親和的なのは、やはりSFが若い文学だからであろうか。それから、小松がこの小説で考えようとしていることは現在も充分問題として有効で、たぶん東浩紀が今やろうとしていることはだから、小松左京を継ぐことなのだと思う。寄川条路の『ヘーゲル哲学入門』を読み始める。
  • 柚子と晩御飯を食べながら、NHKの動物ドキュメンタリで、道具を巧く使って餌を取る「カレドニアガラス」の生態を大変感心しながら眺める。
  • 134君から、高円寺の「石狩亭」が火事で焼けたことを教えられる。創刊号を文フリで出した日の夜、興奮冷めやらぬまま、あちこちを呑み歩いて、いちばん最後に行って、朝までグダグダ駄弁ったお店だった。とても素敵な店だったのを思いだす。朝になって店を出て、ぽぉーっと明るんできたなかを、商店街を抜けて、皆で駅まで歩いたのだった。