三宮でぐるぐる。

  • 朝の九時に慌てて跳ね起きて三宮まで出る。週末の試験監督のアルバイトのための説明会があるのである。
  • 終わってから三宮をぶらぶら。中古レコード屋で、クラウディオ・アバドがウィーンで振った『シモン・ボッカネグラ』のライヴ盤をみつける。こんなのが出ていたのも知らなかったが、アバドの振るヴェルディはいつもとても素晴らしいし、DGから出ているこの曲の録音も好きなので、二五〇〇円(今の私の財布では決して楽々とは買えない)だが、やっぱり買う。するとポイントカードがいっぱいになって、一五〇〇円分の金券になる。レコード屋の棚をぐるぐる探し回って、ヴォルフガング・リームの『狩猟と形式』と深田恭子の2ndをあわせるとちょうどその金額になったので、さっそく交換する。ところで、私はよく、もしアバドがイタリアでずっと、ヴェルディのオペラと現代音楽のスペシャリストとしての活動に専念することができていたら、もっと素晴らしい指揮者としていられたのではないかと思うときがある。
  • 雑誌でも立ち読みするかとぷらりと入った元町駅の高架下の本屋で、『switch』の表紙に睨まれ、後頭部を殴りつけられたような気持ちになる。今を生きる大島渚の特集、『アラザル』でもやりたかった! やられた!と思うのと、失礼ながら、まさかもう全然ダメな雑誌だと思っていた『switch』にこんなにも鮮やかにガツンとやられた妙な快感と、私より少し若いひとらしい方(坂本亜里さん)から出た企画のようで、そのことに大変共感する。どれだけ古い映画でも、どれだけ古い音楽でも、それはいつだって「今」になる。過去と衝突することからしか、「今」は立ち上がらない。
  • いちど帰宅して、荷物を置いてから、アルバイトに。