爪が延びるのが早い。

  • ずっとアバドの振る『シモン・ボッカネグラ』を聴いている。DGから出ている1977年のスカラ座とのスタジオ録音ではなく、先日中古で買った1984年のウィーンでのライヴ盤のほう。オケと歌手が大変伸びやかにうたっていて、今はかなりこちらを気に入っている。
  • 段ボール箱の暗がりのなかに潜んでいる「しま」を、その側面の穴から覗き込むと、ぐいと爪を広げたパンチが飛んできて、鼻の頭に切り傷ができ、ちいさく血が滲んだ。
  • 夕方から出かけて、梅田で古本屋をぶらぶら。ネットで買おうかどうしようか迷ったが、イヤ、もう少しだけ探してからだと決めた中野重治の『斎藤茂吉ノオト』が、いきなりずばり、棚に並んでいて喜ぶ。200円。
  • 夜中帰宅すると玄関の扉の向こうから「しま」が、「ナァ」と呼びかける。
  • 私が彼の新しく書いたものを読むことはすっかりなくなったが、高橋源一郎の最もいい本は、公開されるために書かれた日記である『追憶の1989年』かも知れない。