薬を服んでひたすら眠る

  • 朝、起きてゴミを棄てる。帰ってきて、柚子が作ってくれた豆のカレーを食べ、薬を服み、風邪をさっさと治そうと思って、再び蒲団に入り、ひたすら眠る。「しま」がまるで看護婦みたいに、ずっと枕元に坐って、やっぱり眠っていたらしい。
  • 夜は自転車に乗ってアルバイトに。
  • 帰り道、街灯の脇で咲いている桜を写真に撮る。私の写真のダメなのは、とにかく対象とグズグズしているところで、何枚もダメなのを撮り、情けなくなってきて、ズカズカと近寄っていってバチリと撮ると、ちょっとはマシなのになった。
  • 帰宅して、柚子と晩御飯を食べる。MR君からメール。ありがたい。
  • 私は、俳句と云えば西東三鬼しか知らない。先日、山口誓子の「かりかりと蟷螂蜂の皃を食む」という句をみつけて、カリカリとトウロウ、ハチのカオをハむ、とは、ちょっとやばいなと思ったのと、戦前のことだが、あの「エグい」ことで知られる住友が、身体を壊して職場から離れた彼を、さらに嘱託として給料を払い続けたというのを知って、誓子が自選自解した句集を日本の古本屋で註文した。届いたのをぱらぱらやっていたら、こんな句が出てきた。
  • 「水枕中を寒柝うち通る」。
  • 誓子の解説によると、「耳を水枕につけていると、音が聞こえた。その音は水枕の中を通り過ぎた」、と云う句らしい。そして、「その音」が「寒柝」で、それは「寒い夜に、火を警めて、拍子木を打つ、その音」のことだそうだ。さっき私は俳句は三鬼しか知らないと書いたが、だから、殆ど自動に、「水枕がばりと寒い海がある」を思いだした。ところが誓子、すぐに私に答えてくれる。

この句を読んで、西東三鬼の、「水枕がばりと寒い海がある」という句を思い出すひとがあるだろう。頭が動いて、水枕が揺れると、中の水が、がばり、がばりという。その音は、寒い海を思わしめる、というのだ。三鬼らしい句だ。
私の句は、即現実で、私らしい句だ。

  • 「私の句は、即現実で、私らしい句だ。」
  • ぞっとする文だ。山口誓子と云うのは、とてつもなくおそろしく怖くて、何処までも悪い奴だろうな、と思った。
  • ググっていると、三鬼のことがたいそう好きらしいひとが、何で誓子みたいな、殆どパクリだったり、そうでなくてもつまらん句しか読めない奴に、あの三鬼が心酔したのかがまるで判らないと書いているのをみたが、それは何もむづかしくないと、はっきりと思う。