- 朝、きのうの夜にやるはずだった、ブルース・フィンクの『ラカン派精神分析入門』を読みながら精神分析という思想のかたちに就いて考えるというゼミのイントロダクションをやる。少し詰め込みすぎたかと思うが、複雑であることを旨とするのだから、止むを得ないとしておく(しかし、その配分をどうするのかは、今後の私の課題である)。
- 昼からMT君による音楽講義。MT君のこれまでの人生の歩みが語られるなかから、西欧音楽史と、彼の作曲(実作と思索両方)の営みの試行錯誤が報告されてゆくという形式で、その語りのシステム自体がまず大変面白かった。
- けっきょく帰るのをやめて、夜中、Hさんから囲碁の入門の手解きを受ける。まったく知らないゲームを始めるとき、じぶんが、それをどういうふうにするのかが垣間見えて面白かった。まず私がやったことは、類似の、既知のゲームのやり方を持ってきて、未知のゲームに何とか当てはめてみようとしたのである。つまり、Hさんがルールを極く簡略化したものをあらかじめ教えてくれているにもかかわらず、身についていないそれではなく、黒と白の石を並べてゆくゲームであるところからひっぱりだされてきたのだろう、オセロの手法で私は囲碁をプレイしようとしてしまうのである。何度か繰り返して敗けているうちに、ようやく、これはオセロではないということがじぶんの裡ではっきりしてきて、とてもぼんやりとしているが、囲碁の方法論が少しずつ蓄積されてゆくのがみえて、大変面白かった。