• ふと、サドの『閨房哲学』をぱらぱらと読む。翻訳は澁澤龍彦のもの。「道楽者へ」と題された巻頭言は、こんな文句で終っている。サドは、いつだって明るい。

このみじめな地球の上に誕生してしまったからには、せいぜい己れの趣味と気まぐれの範囲を拡大し、あらゆるものを快楽のために犠牲にして、辛い人生にいくらかでも薔薇色の彩りを添えようと努力すべきである、と。