『狩人の夜』と『希望 テルエルの山々』をみる

  • アンドレ・マルロオの『希望』は後半、ポテ540爆撃機*1の、宮崎駿好みな異様な姿がたびたび画面に映るのが愉しかった。きちんと整えた映画にしようとしてしまい、映画の面白さが減じてしまう箇所は決して少なくないが(きちんとしようとして逆に変な画面になって面白くなってしまっている箇所もある。街中で銃撃戦を繰り広げる男たちの耳に、キャタピラの轟音が聞えてくる。「まずいぞ、戦車だ!」その次のショットでは、「戦車だ!」と云ったので戦車を映さねばならぬと思ったのだろう、ぜんまい仕掛けのブリキの戦車が、実景写真を板に貼りつけてこしらえた街のなかを勢いよく走り抜けてゆく)、ぶっきらぼうキャメラを向けて撮っているだけのショットには幾度か、はっとさせられる。男たちが尻のポケットにごそごそと拳銃をしまおうとするがちょっと手間取るさまだとか、石畳の路地をダイナマイトを満載した荷車をのそのそと押してゆく農民たちの歩みだとか。
  • 真夜中、やっぱり居間でうたた寝していると、ものすごい雨と雷。すごく近い場所に落ちたような雷の轟きと、窓の外が真っ白に明るくなる。