• 夕方、病院に寄ってから、本屋をぶらぶら覗き、アルバイト。
  • ちんたら読んでいる大橋良介の『美のゆくえ』はカントとヘーゲルの美学の概説を終えてアドルノの美学の説明に入る。

現実の矛盾のなかで、藝術は自分自身の没落を自覚する。そのとき、「藝術は支配的な精神に対する批判として、文化産業に組み込まれた藝術それ自身に反対し向かう」。(……)藝術は、直接的に現実の矛盾に対して作用することはない。そこで、「すべてが機能化された世界での藝術の機能は、その没機能性のことである」となる。それが、逆説的な意味における「藝術の合理性」となる。(……)「非人間化した社会で、藝術を守るものは何か」という問いを、アドルノのコンテクストで考えるなら、答えは、藝術を疎外する非人間化した社会そのものということになるだろう。なぜなら、そういう社会が、まさにその帰結として社会的アンチテーゼを、つまりは藝術を、逆説的に在らしめるからである。ただしその場合の藝術は、守られるべき藝術は現実には無いという現実へのアンチテーゼ、ないし、ユートピアを指し示す藝術、ということになる。(……)目標でも手段でもなくて、本質として、藝術は社会へのアンチテーゼとなっている(……)。