• 今朝は晴れている。洗濯物を取り込む。
  • 便所で青山真治の『われ映画を発見せり』を読んでいるとこんな一節。そのとおりなのである。

既に「人間」は死んだ。「人間」のいない世界で、「人間」でなくなった者ら、〈物〉となったそれらが蠢いている。それはもはや笑うしかないくだらない光景ではないか。しかしそれが二十世紀の素顔であり、掟である。偉大なる映画作家たちは皆、その二十世紀の掟を徹底的に実践した。その創始者ジョルジュ・メリエスであっただろう。(……)我々はあらゆる道徳や倫理や価値観や国籍や、「人間」のために用意されたそうしたことどもを、はっきりシカトする勇気を持って映画というよくわからないものと向き合わねばならない。ただそこにある〈物〉を見て、その声を聴いて、その不可解さを受け留めて、笑うこと、それだけが我々に可能なアクションなのだ。たとえそれが二度と「人間」に戻ることの出来ない道であっても。