• 仕事初め。行って、帰って、晩御飯を食べてから、年末からどうにも身体がばきばきになっているので、柚子に揉んでもらい、とても楽になる(年末に整骨院で歪みは取ってもらったが筋肉の凝りはそのままにしていたから、ということらしい)。そのまま夜明け頃まで、眠る「しま」の横で、スピルバーグ本の原稿を修正する。取りあえずこの頁数で書きたいことは全部書けたと思う。もちろん『ミュンヘン』や、全然論じ尽くされていない『ターミナル』(例えば、飛行機に乗るとおかしくなっちゃう女ってのは、『1941』の変奏だと思うし、9.11のあとに夜のニューヨークで終わることの意味だとか、書きたいことはまだまだある)に就いてしっかり書くのは私自身の宿題とする。『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』、『戦火の馬』などに就いても同様。
  • リービ秀雄の『千々にくだけて』を読み終える。やはり、こういうところが面白い。

そして母は、覚えているか、と聞いた。あの名言があったでしょう。
avoid foreign entanglements' あの古風な英語を、三十歳の母親が子供に説教するような強い口ぶりで、はっきりと発音しながら、言った。
異国とのからみごとはさけるべし
ジョージ・ワシントンが言ったでしょう。覚えていないのか」
「覚えていない」
avoid,avoid!
母がまた説教する声でくりかえした。
さけるべし、とにかくさけるべし
母の声は、戒める三十歳の声から、八十歳を過ぎたひとりごとに変わり、弱まりはじめた。
avoid them like the plague
ペストをさけるように、さけるべし
エドワードは黙りこんだ。