• 映画館で映画をみることの第一は、暗闇のなかにうずくまって、前方の大きな、ちらちらする光の矩形の広がりをみつめることにある。それに伴って、耳も開かれているが、やはりそれも暗闇のなかに浸された耳であり、通常の耳ではない。
  • 映画館で映画をみるとは、肥大化した目玉と耳以外の私の総てを、暗闇のなかで、座席の下に置きざりにすることである。映画が終り、場内が明るさに満たされるとき、それらが一気に私のもとに帰ってくる。そのときに私が感じるのは、ほとんど一種の羞恥である。
  • マーク・ロスコジャクソン・ポロック、バーネット・ニューマンなどの、いわゆるアメリカ抽象表現主義の巨大な絵画をみるとき、そこに映画館のスクリーンを、大きな矩形のフレーム上での光の揺らめきを想起しないでいられることは難しい。
  • ……ここまで書いたけれど続きがないので、こちらに残しておく。