『北陸代理戦争』をみる

  • バシュメットリヒテルによる、ショスタコーヴィチの《ヴィオラソナタ》を久しぶりに引っぱりだしてきて聴いている。こんなにいい音楽だったのかと驚きながら。ショスタコーヴィチの音楽がぎりぎりまで切りつめられていて、しかし総てが盛り込まれてる。遺作であるが、これで最後ですというふうではなく、まだその先へ(それは、更にとてもとても暗く困難な場所であるだろうけれど)じりじりと進もうとしている音楽。
  • レンタルビデオ屋でVHSの中古を買った『北陸代理戦争』を引っぱりだしてきて再見する。包丁を握って血まみれになる高橋洋子の勢い任せの迸るような芝居と、彼女とただならぬ間柄となってゆく松方弘樹(コップの麦酒をパンを食うように呑むのが面白い。この映画での松方は、高橋洋子を抱きとめるとき以外は、ずっと身体を揺すぶり、動き続けている)をみているうちに、このときのふたりで『愛のコリーダ』を撮っていたらどんなだっただろうと、ふと思う。『北陸代理戦争』は1977年で、『愛のコリーダ』は1976年の映画であるから、同時代なのである。