• DVDで黒沢清の『クリーピー』をみる。竹内結子香川照之の顔が画面いっぱいにつめこまれるショットだったり、怪奇映画のわくわくに満ち溢れた旅のはじまりのショットだったり、最後の一連の劇だったり、これは黒沢清の映画であるというのは嬉しくなるほどよく感じられるのだが、しかし同時に、これまでの(というのは、たとえば『CURE』だったり『叫』だったり『トウキョウソナタ』あたりまで)には間違いなくあった、美しく装われた室内とか、その室内のもっている気配への関心が、著しく低下しているような気がして(半透明のビニールカーテンを、黒沢清がこんなにもぞんざいに扱っているのを私は初めてみた)、そしてそのかわりに、人間の顔そのものへ興味が向いているように思った。ちょっぴり残念な気もするが、しかしそれらはさっき挙げた映画を見返せば済むことだ。新しい黒沢清は、とても面白かった。
  • 出かけるつもりだったが、疲れたので、眠る。グリーンバーグの「「フォーマリズム」の必要性」をまた読み返す。すると、ヴィトゲンシュタインが読みたくなって、きのう買ってきたばかりの丘沢静也の訳の『論理哲学論考』を読み始める。頭についている野家啓一の解説もいい。