• 通販で頼んでおいた『マーク・マンダースの不在』の図録が届く。この展示をしている都現美は、結局今も開いていない。ぱらぱらと捲ったあと、柚子に渡すと、「マンダースの作品は、放っておくとそのまま消えてゆきそうな感じがある」という。マンダースは脆い。しかしそれをブロンズで作っているのが面白いが、材料の性質で抗ったとしても、脆弱性シミュラークルだとしても、やはり消滅の予感は、その作品からは拭い難い。ブロンズで作っていない、半透明のビニールとか展示室の隅の粘土屑こそが、マンダースの作品の出発点(でありオメガ)であるような気がする。
  • 柚子は、「ボレマンスはとても強かった」ともいう。金沢で見た二人展は、ボレマンスの強さとマンダースの弱さがせめぎあいながら、あの空間が立ち上がっていたので、とても良かったという。布や板に油で描いているボレマンスの強いタブローと、マンダースの弱い彫刻というのは、私もそのとおりだと思った。