• 『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』を再読している。
  • この小説は小説としてとても素敵な小説なのに、全然そこを読んであげていなかったよ、ほんとナボコフ先生すまんです、と思いながら、すごく楽しく読んでいる。普通に小説を読む(尤もらしく出てくる数字は疑ったり、これ誰が言ってるんだよとか考えたり、うわここの繋ぎ巧いな、きれいな文だなと思ったらスナップ写真撮るみたいにページの端を折ったりしながら読む)ことをせずに、前は「20世紀アメリカ文学の巨匠の代表作」とか「言葉の魔術師の技芸あふれる」とか「あの『バルタザールの遍歴』でもレスペクトされていたすごい奴」って読み方(読み方なんてものじゃなくて、読んだというアリバイを作りたかった)だけで、おいしいところを食べずに丸ごと捨てていたんだな。むしろ、本のカヴァーだけを食べたんだ。