• 昼前から神戸映画資料館に籠ってアレクサンダー・クルーゲ特集。TV番組として制作された短篇をセットにした『サーペンタイン・ギャラリー・プログラム』も1974年の『危急の際に中道は死』(同じ1932年生まれの大島渚の1968年あたりの映画と通底するところ多々。開かない扉に書かれた落書きにカメラが駆け寄るとそれがタイトル、というのも恰好いい)も面白かったが、『盲目の映画監督』がとにかく素晴らしかった。渋谷哲也のレクチャー(蓮實的な表層批評だけでは映画とその外との繋がりをうまく捉えることができないという最後にふと漏らした指摘には首肯)によると原題は『現在からその他の時代への攻撃』であり、各エピソードは言わばカイロスとクロノスの相剋の諸相だが、画面の色味も、二階と一階をひとつの画面に収めるショットも、ガラスのビルの映り込みと覗き込みも奇妙な映画の撮影現場も、1980年代のヨーロッパ映画のあれこれを思い出させるがどれとも微妙に異なる感じが、とても私の好みだった。