• マイケル・ボンドの『パディントンのクリスマス』も読み始める。写真屋さんの店先に飾られるほどの「非常に珍しい型の初期のカメラ」でブラウンさん一家を撮る「家族写真」で、パディントンが撮る写真は「少しぼやけていて、ふちのほうに数か所、前足のあとがついてい」るのだが、それは

「はっきり、きれいにとれてはいるんですよ――たしかに、みなさんがた全部うつっていますがね――しかし、ところどころ、霧がかかったようになってるんですよ。それに、このポツポツと明るい部分ですね――お月さまの光みたいに――これがどうも変ですなあ!」
 パディントンは、写真屋さんの手から感光板をうけとって、ていねいに調べました。そして、だいぶたってからいいました。
「これ、ぼくがおふとんの下で、懐中電燈をつけたところだと思うよ。」

  • ほかにもガイ・フォークス・ナイトの珍騒動「パディントンとたき火」(「二人で考えれば、問題は半分だよ、ブラウンのだんな。」と、グルーバーさんはよくいいました。「たしかに、おまえさんがこの近所に住むようになってから、わしは、調べもののたねに不自由しなくなったよ。」)や、「クマであるということは、いいことでした。とりわけ、パディントンという名のクマであることは」と締め括られる「クリスマス」など、本当に素晴らしい短篇ばかり。ペギー・フォートナムの挿絵も冴えわたっている。特に「家族写真」で黒いフードを被って三脚つきのカメラを操作するパディントンを描いた絵がいい。