• 朝から出かけてシネマ神戸でシャンタル・アケルマンの『東から』を見る。照明を一本立てて、駅の巨大な待合室とか、舗道の真横から、カメラを固定して撮っているものすごく長いドリー・ショットが幾つかある。路面で物を売っている人や、たまたま横断歩道の前かバス停だか何かで、車道のほうを向いている人々の顔が、照明の光が届く範囲で画面の真ん中が少しだけ周囲より明るみを帯びて、次々と映る。カメラの移動と同じ方向に向かって歩いている少年の青白い顔が長くフレームの中に残ることなどもあるが、顔はどんどんフレームの外に流れてゆく。ずっと決定的瞬間が続く(またはずっと決定的瞬間が訪れない)スナップショットのような映画。
  • 午後から柚子と国立国際美術館で「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館」展を見る。やはりピカソは面白い。キュビスムの後半の、ぽつぽつとした点描っぽい色彩の導入、なんだあれは?! 「メル・ボックナー」展も綺麗な石を使っているので、可愛くてナチュラル志向のポスト・ミニマリズムになっていた。お茶を呑んで帰る。