• 交尾しながら蝉が、朝の通勤の道端にひっくり返っていた。うつ伏せで寝そべっている牝に仰向けで挿入している牡という格好。よく見ると脚が天を掻いていたので、指を持って行ってやると、がっきとしがみついて、びいいいっと叫びながら牝と繋がったまま飛ぶのだが、牝の重さに引っ張られて、また仰向けになって道端に転がる。二度ほど繰り返したが、どういう仕組みだか知らないが、文字どおり、死んでも離さぬという具合らしく、繋がったまま天を仰いでいる。腹上死だなあと思いつつ、立ち去る。
  • 佐藤忠男の『大島渚の世界』を読んでいる。『白昼の通り魔』論が大変鋭く白眉だが、佐藤がこの続編と見做している『日本春歌考』論も見事。こんなのがあると大変面倒である。