• 国立文楽劇場で《女殺油地獄》を見る。まともに文楽を見るのは初めてなので、席は自動のお任せで取ったので最前列。今度はもう少し後ろで、太夫と人形を一望できるところに坐ってもいいかもしれない。「河内屋内の段」の亘太夫と團吾のコンビが面白く、特に團吾の三味線の音がぶりぶり鳴っていて、合いの手の声も渋かった。勘壽の徳兵衛、清十郎のお沢の夫婦のやりとりも良かったが、やはり玉助の与兵衛と一輔のお吉の「豊島屋油屋の段」の凄惨な殺害のシークェンスでの動きが凄かった。人形遣いのほうが人形のように見えてくる。とても不思議なものを見た。文楽でこの演目が復活したのは1962年らしいから、もう『青春残酷物語』のあとだ。また行ってみようと思った。
  • 昨日、富岡多恵子のを読んだ時も思ったが、舞台で見るとより一層、その場その場の薄っぺらな自己弁護で、つるつる滑って地獄に堕ちてゆくだけの与兵衛の描き方が、本当にノワールそのもので、呆気にとられた。これは怖い。
  • 夜中にダネル四重奏団のショスタコーヴィチの《10番》と《15番》を聴く。
  • 戦場のメリークリスマスシネマファイル』を「日本の古本屋」でいちばん安い値段で売っている店から買ったら、またもやサイン本だった。