• 読んでいる途中で風呂で寝てしまい(あれは寝ているのではなくて失神だそうだ)珍しく水没させてしまって買い直したりしながらちんたら読んでいた飛鳥井雅道の『幸徳秋水』を読み終える。『TN君の伝記』の終盤もくらかったが、こちらはもっと絶望的にくらい。堺利彦大杉栄石川三四郎が幸徳の処刑の当日に刑場に赴くが追い払われ、尾行の巡査に影のようにつかれながら、何もすることができず痛飲して夜になり、「交番の前では道路工事のカンテラが赤く二、三間のあいだをおいて暗闇の中にならんでいた。堺はよろよろ歩きながら、手にしたステッキで、一つ一つうちこわして進む。巡査は手だしできなかった。仲間がそのときも一人一人と首を絞められて殺されているのだ。堺は、さらに一つ、カンテラをステッキでなぐりこわす。いつもは乱暴な大杉も、黙々として堺とともに歩いた」というところなど、あまりにくらい。ヤン=ヴェルナー・ミュラーの『試される民主主義』を読み始める。