• 何の音だか判らない。部屋で原稿を書いていると、後ろで「カリッ」という音がときどきする。それが「しま」がカリカリを食べるときの音に似ていて、そもそも彼女の食事は階下だったので私の部屋からその音が聞こえるわけはないのだが、「あ、「しま」めし食ってる」と思う。
  • 本を探していて手前に積んだ本が崩れる、というのはもういつでもあることだが久しぶりに、崩れかけた本を掴み損ねて脛の膚を表紙の角で擦り剥き血が滲む。痛い。ブランショの『終わりなき対話』の三巻。
  • 朝から原稿を書いて、少し眠って、イーサン・ローズの『Ceiling Songs』を聴いている。「Song 3」の、穏やかで実に小さな音なのだが、肚の奥のあたりを震わせてくるビートとか、顎の下あたりで響く、氷が溶けるような音がとても面白くて怖い。ブランショで怪我をしながら引っ張り出したのは武満徹の『沈黙、沈黙と測りあえるほどに』で、ぱらぱら捲っていると非常に見事な大島渚の映画についての寸評があり、唸る。